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スペシャルインタビュー・井上一

ALL YOU NEED IS DOG

〜犬こそがすべて〜

広告業界で活躍するカメラマンの第一人者、井上一さんを訪ねました。Jamo島のメインテーマであるペットと家族。1997年に「4人と4匹」という写真集を出版した当時のお話しをうかがいました。

犬たちと暮らすきっかけは何ですか

井上:団地から一軒家に移る事になり、動物好きの娘の強い希望で、団地住まいでは無理だった犬を飼うことになりました。犬種は、盲導犬にもなるラブラドール・レトリバーに決めたもののペットショップにはいなく、やっとのことで譲ってくれるという大阪の警察犬訓練所を雑誌で探しあてました。顔などを写真で確認し一週間後飛行機でやってきたのは昭和63年(1988年)の3月。私が好きなジョン・レノンから「ジョン」と名付けました。一週間もすると“待て、お座り、お手、伏せ、ごろん”などしつけも憶える賢い犬でした。

4人と4匹

1997年2月 河出書房新社から発行されました

犬たちの印象を教えてください

井上:知り合いからゴールデン・レトリバーの仔犬が生まれたというので見に行きました。それからまもなくしてメスの仔犬が来ることになり、「サラ」と名付けました。サラは、ジョンとちがっていたずらで甘えん坊でした。
 ある時、友人がサラのような犬がほしいということで、サラに子どもを産ませることになり、サラが2歳と6ヶ月の平成5年(1993年)1月15日に、6匹の仔犬を産みましたが、1匹だけ喉に障害をもった仔犬が生まれました。「キキ」と名付けたその仔犬は、お乳がちゃんと飲めず鼻からほとんど吹き出してしまいます。大きくならず獣医さんに見せたところ、助からないかもしれませんと言われていましたが、それでも昼間は娘がふところに入れ、夜はアンカの上で寝かせていました。「キキ」の食べ物を喉にひっかけ苦しみながらも成長する姿に、生への執着力の強さを教えられました。

産まれて1ヶ月目のサラの仔犬

産まれて1ヶ月目のサラの子ども達。左からキキ、レイチェル、桜、アッシュ、ウェンディ、アルル。

4人と4匹を出版するいきさつをお聞かせください

井上:「サラ」が産んだうち「キキ」と一番ののんびり屋「アルル」が残ることになり4匹の犬たちと私たち4人の生活が始まります。最初は近くの公園で遊ばせてましたが、思い切り走らせてあげようと思い車で山の中や河川敷に出かけるようになりました。仔犬の時から写真を残すようにこころがけていたので、屋外では家内と連携して大自然の中で遊ぶ4匹の様子を撮影していきました。その頃から、この子達の写真でカレンダーを作り犬好きの友人に配っていました。一枚一枚暗室でプリントし玉(月日)が印刷された台紙に貼って、60セットくらい作って結局2004年までの11年間続きました。この写真が編集者の目にとまり写真集の出版とデパートでの作品展が開催されることになりました。会場には犬たちも参加し、夕方になると繁華街を散歩に出かけていくというユニークな作品展になりました。
 今は、4匹ともいなくなり、新しい犬はほしかったけど体力的にあと15年近く世話をすることが出来るだろかと思い、今は捨てられていた猫がいます。
 犬と共に子ども達も成長しますが、犬たちは子ども達より早く亡くなるので、子ども達も生き物の生死について何か感じるものがあったと思ってます。

犬カレンダー

井上さんが一枚一枚プリントしてつくったカレンダー。

川の土手の上

キャンプ用品一式を車に積み込み、山陰へ向かった。
一面に広がる青空、出雲の大きな川の土手の上で。

作品展会場

デパートの作品展会場でお客さまを家族と迎える4匹。

カメラマンになったきっかけは何ですか

井上:小学校5・6年の頃、父は毎日楽しそうに街へ撮影に出かけて行きます。カメラマンがそんなに楽しいなら自分もなろうと思ったのがきっかけです。父の写真はコンテストで常にベスト3には入り、新聞に父の名前が載るたびに、子どもごころに、すげーなぁと思いました。でも賞金は生活費にまわることはなく写真のフィルムなどの消耗品になっていたようです。後になって父は写真はうまいけど道楽だったんだなぁと気がつきました。
 昭和30年代の福岡の街を撮影した父の写真が、デパートの広告に使われたことで一躍脚光を浴びることになり、その後「想い出の街」という写真集が出版され沢山の方に指示されたことで糸島市志摩にギャラリー「井上孝治写真館」ができました。平成元年に発行された「想い出の街」は23年間少しずつですが今でも増刷されています。2012年「想い出の街」カレンダーは第63回 全国カレンダー展で最高賞(経済産業大臣賞)を受賞しました。
 また「想い出の街」2013年版も完成しました。

井上孝治写真館

井上孝治写真館

2012年「想い出の街」カレンダー

2012年「想い出の街」カレンダー

2013年「思い出の街」カレンダー 012年全国カレンダー展で最高賞受賞の井上孝治「想い出の街」カレンダー2013年版が完成しました。

サイズ:A3 13枚(表紙を含む) 価格:¥1,890-(税込み)
送料:1部¥290- 3部まで¥340- お支払い:ゆうちょ銀行
申し込み・お問い合わせ「井上孝治写真館」井上まで
〒810-0014 福岡市中央区平尾3-17-27 ブルックスタジオ
TEL:090-7163-8788 FAX:092-521-3587

カメラマンになったきっかけは何ですか

井上:カメラマンとして仕事を始めたのは七五三などを撮影する写真館でした。そこでは広告写真の仕事も手がけていたので、仕事場から近かった連合市場に行き野菜などを買ってきては自分なりに撮影していました。たまたまある企業の方の新築祝いに写真をお送りしたところ、自社のカレンダーにと採用していただいたのが広告写真へのターニングポイントだったと思います。その後カレンダーは8年ほど続き、カレンダー展で最高賞も3度いただきました。

影響を受けたカメラマンはいますか

井上:私の好きなカメラマンは、フランスの写真家でアンリ・カルティエ=ブレッソンという主にパリのスナップ写真を撮影したカメラマンです。「決定的瞬間」という写真集を出版したことから「決定的瞬間」という有名な言葉ができました。その他ファッションとポートレートで有名なニューヨーク生まれのリチャードアベドンとニュージャージー生まれのアーヴィング・ペンというカメラマンです。いずれも1900年代中期に活躍し、80歳代まで撮影をしていました。
 彼等が撮った人間や街の内面を切り取った写真に近づきたいと思っています。

写真をうまく撮る秘訣はありますか

井上:昔、写真は光画と言いました。今でも影を撮るとかいて撮影というように光のとらえ方が重要だと思ってます。
 明かりがないと写真が写りません、写真は自然光が基本です。太陽の明かりは一つです、写真を撮る光線も基本は一つにします。太陽の光が強ければ影もくっきり出ます。曇りなら柔らかい影になります。雨でもうっすらと影が出ます。難しい話になりますが、光の質と光の方向を身につけることが大切だと思います。
 それから光には順光線と逆光線がありますが、逆光線で撮った写真は美しく見えます。特に料理などの写真は順光線より逆光線の方が美味しく見えます。
 あとは構図を考えたり、可愛いところを探して、引いたり寄ったりしながら撮るといいでしょう。

井上一/BROOK STUDIO代表 カメラマン